コラム

自分で債務整理

千葉県佐倉市 わたなべ司法書士事務所 司法書士 渡辺健治 です。

消費者ローンやクレジットの支払いが難しくなったとき、弁護士や司法書士(以下「専門家」といいます)に債務整理を依頼する方が多いのですが、自分でもできることをご存知でしょうか。

専門家に依頼すると、専門家が業者に受任通知を送ることで、まず、業者からの取立てが止まります。その後、専門家が依頼者の家計や負債の状態を把握したうえで、依頼者と一緒に返済計画を立て、月々支払える金額で分割払いができるよう専門家が業者と交渉します(このような整理の仕方を「任意整理」といいます。将来の利息・損害金のカットも交渉します)。また、現状の収入では任意整理が難しい場合(概ね3年から5年以内に完済することが難しい場合)、自己破産や個人債務者再生手続といったメニューの提示を受けることができ、ご自身にとって最適な解決策を検討してもらえます。専門家に依頼するメリットは大きいです。

しかし、専門家に依頼するとなると、気になるのが報酬ではないでしょうか。報酬を支払える余力があるのなら、その分を各社への支払いに充てたいと思う方もいらっしゃると思います。

では、専門家に依頼せずに、ご自身で業者と交渉し、任意整理をすることはできるでしょうか。私の経験(クレジット会社に勤めておりました)では難しいのではないかと感じております。事情を説明すれば、月々の支払額を減額してくれることはありますが、将来の利息・損害金を全額カットしてもらうことは難しいです。また、協力的な会社があっても、他社がそうとは限りません。何よりも、交渉力という点で、どうしても押し切られてしまいます。

そこで、裁判所の特定調停という制度をご紹介します。特定調停とは、従来の民事調停手続の特則として平成12年2月17日からスタートしたもので、金銭債務に関する利害関係を調整し、債務者の経済的再生を図ることを目的とした制度で、従来の民事調停手続より利用しやすいものになっています。

どのような手続なのか大雑把に言うと、申立人と業者を裁判所に呼び出し、裁判所の調停委員が間に入って返済方法などを調整し、話し合いがまとまれば、合意内容が調停調書に記載され、手続終了となります。以後、申立人は調停調書の記載内容にしたがって返済することになります。手続のメリット、デメリットは以下のとおりです。

1 特定調停のメリット

①申立手数料を収入印紙で納める必要がありますが、数千円で済むことが多く、ローコスト

②申立により、業者からの取立てが止まる。

③裁判所が業者に資料の提出を求め、残債務額を計算してくれる。

④将来の利息・損害金のカットが期待できる。

2 特定調停のデメリット

①調停調書に記載された内容での返済がストップした場合、調停調書に基づいて業者から強制執行(給料の差押、銀行口座の差押など)を受けるおそれがある。

②過払金が発生していることが判明しても、手続の中で取り戻すことは難しい。(別途、専門家に依頼するか、自身で民事調停または民事訴訟を申し立てる必要があります。)

③何回か裁判所に出頭する必要があり、時間がとられる。

デメリットをよく理解した上で利用するようにしてください。利用を検討している方は、裁判所に出向いて相談してみてもいいでしょう。管轄裁判所は、業者の本社、営業所、事務所所在地の簡易裁判所が原則ですが、ご自身の住所地を管轄する簡易裁判所でも処理してくれることがあります。まずは、最寄りの簡易裁判所に相談してはいかがでしょうか。なお、当事務所でも相談に応じております。初回相談に関しては、相談料をいただいておりません。

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