千葉県佐倉市 わたなべ司法書士事務所 司法書士 渡辺健治 です。
不動産の購入時に、売買による所有権移転登記とともに買戻特約の登記がされることがあります。
所有権移転 平成〇年〇月〇日 原因 平成〇年〇月〇日売買
第〇〇〇〇号 所有者 〇〇〇〇
買戻特約 平成〇年〇月〇日 原因 平成〇年〇月〇日特約
第〇〇〇〇号 売買代金 金〇〇〇〇万円
契約費用 金〇万円
期間 平成〇年〇月〇日から〇年間
買戻権者 〇〇〇〇
買戻しとは、不動産の売買契約と同時に、買主が支払った売買代金と契約費用を売主が買主に返還して売買契約を解除することができるという特約をすることによって、売主が売却した不動産を取り戻す制度です。
買戻特約は、公共的な宅地分譲において、買主に課した建築義務や転売規制などを担保するために利用されてきました。例えば、買主が一定期間内に建物を建てなかった場合、売主が売買契約を解除して分譲地を取り戻すというものです。
しかし、長期にわたり売主に売買契約の解除を認めると、買主の所有権を不安定にしますので、期間制限が定められ、買戻期間は最長10年とされています。
不動産の登記簿を取ると、買戻期間を経過し買戻権が消滅しているのに、買戻特約の登記が抹消されていないものを見かけることがあります。このままにしておいても、不動産の利用について問題になることはありませんが、将来、不動産を売却する際には足かせになることがあります。不要な買戻特約の登記は消しておいたほうがいいでしょう。
従前、買戻特約の登記の抹消は、買戻権者(売主)と買主が共同して法務局に申請する必要がありました(具体的には、売主から買戻特約の権利証や委任状などの書類を発行してもらう)。
令和5年4月1日からは、売買契約(買戻特約)の日から10年を経過している買戻特約の登記の抹消は、買主が単独で申請することができるようになりました。売主から書類を発行してもらう必要はありません。
ご自身でも法務局に申請することができると思いますが、難しく感じられたら、ご相談ください。